全国不動産物件ブログ

死を早めた老人の転居

2011.11.18

転居が老人の死を早めた例を外国と日本について見てみよう。アメリカ、クリーブランドのベンジャミン老人ホームは、大都市の下町にある過密状態の老人ホームで、ここの老人二〇〇人を郊外の美しく立派な老人ホームへ移す計画が立てられた。老人たちも賛成し、起工式にも参列、美しいモデルルームを見て心をときめかした。ところが、新ホームへ移って半年の間に二二人の老人が死亡、旧老人ホームよりはるかに高い死亡率を示した。死亡した老人の健康状態から見て、医者がまったく予期しないことであった。

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ある養護老人ホームは、大阪府立であるにかかわらず西宮市内にあり、建物が老朽化したのを機会に府下へ移転する計画を立てた。ところが移転後の一年間に六人が死亡、それ以前は一年間に二人しか死亡していない。一人暮らしの貧乏な老人でも、老人ホームに入りたがらず、その場所で死にたいと訴えるのは、住みなれた土地と家にいつづけることの安心感である。東京都中野区内に居住する一人暮らしの老人一七四〇人についての調査では、「老人ホームへ入りたいと思いますか」という設問に対し、「入りたい」とこたえたものは一%にすぎず、八〇%は「入りたくない」とこたえている。施設が遠距離にあること、見知らぬ他人と同居を強いられること、多少の不自由さがあっても住みなれた土地をはなれたくないという老人の地域への帰属意識がそこには見られる。過疎化現象の中で最後に残された老人が、その家からはなれざるをえない状況に追いこまれたとき、先祖伝来の土地からもはなされてしまう。精神科医はこれを“根こそぎうつ病”とよんでいる。